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<北朝鮮軍に異変>市街から軍人の姿消える 憲兵が巡回して兵士を監視  コロナ肺炎の感染警戒か?

アジアプレス カン・ジウォン 2020.03.22

 

 「街中から軍人、兵士の姿がほとんど消えてしまいました」

 3月中旬、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)に住む取材協力者に、新型コロナ肺炎に関連して、軍兵士の動向について調査を依頼したところ、真っ先にこのような答えが返ってきた。

 朝鮮人民軍の兵員数は人口の5%弱、100万人にも及ぶ。兵士の姿は、全国どこの都市でもありふれて見られる。部隊の移動や休憩はもちろん、兵営から外出した兵士や将校が、市場で買い物や食事をする姿も日常的なものだ。

 それが消えてしまったというのだ。なぜだろうか。協力者は次のように説明する。 

 「コロナウイルスが軍隊内に広がることを防ぐため、近隣の〇〇地区の司令部では、将兵に一切の外出を禁止しています。警務兵(憲兵のこと)がオートバイに乗って、街中や国境警備隊と軍の部隊周辺を頻繁に巡回して、兵士の行動を監視しています。市中では軍人の顔を見ることもないですね」

 朝鮮人民軍は例年12月1日から3月末まで冬季訓練に入る。この期間、兵士も将校も統制されて外出禁止になるのだが、それでも部隊の移動や買い物などの用事で外に出てくる。現在、その姿がまったく見えないという。

 

◆新兵の入隊も異例の延期

 新型コロナウイルスの軍隊への影響は他にある。4月の新兵入隊が延期されたのだ。

 「毎年4月15日前後に、高級中学校を卒業した男子が真新しい軍服に身を包んで、配置される部隊に向けて出発する行事があるが、これが延期になりました。両江道の軍事動員部の関係者に会って理由を聞いたところ、身体検査は済ませたけれど、やはりコロナウイルス感染を恐れて、入隊待機命令が出たそうです」

※高級中学は日本の高校に当たり、男子は満17歳で卒業すると10年以上軍服務しなければならない。

 ちなみに、4月1日の一般の学校の新学期も延期になっている。

 北朝鮮は、3月20日に西部地域から短距離弾道ミサイルとみられる2発の飛翔体を発射。前日には金正恩氏が砲射撃対抗競技を現地指導したと労働新聞などが伝えている。

 今年に入って北朝鮮が「飛翔体」を発射したのは3度目で、すべて3月に集中している。発射訓練を繰り返して技術を向上させることと、軍事力誇示が目的だろう。

 一方で、コロナウイルスの影響で30日間も軍の活動が止まっていたと、在韓米軍のエイブラムス司令官が3月13日に指摘していた。

 今回の北朝鮮内部の協力者からの報告で、兵士に厳しい禁足令が出され、新兵の入隊も延期されていることが分かった。ミサイル発射で示威を続ける一方、コロナウイルスを警戒して朝鮮人民軍には非常事態が続いている。(カン・ジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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