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【News113】『膠着状況が続く朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える国際セミナー』に参加して  田平啓剛

1.セミナー概要 

 ジャーナリスト櫻井よしこ氏(拉致被害者救出並びに朝鮮半島人権問題の解決において、日本が果たす役割が如何に大きいか、を終始力説し、主導)の総合司会の下、12月13日(金)14時~17時、参議院議員会館講堂にて、標記セミナーが多数のマスメディアを含む満席の状況で開催された。

 

 飯塚繁雄・拉致被害者家族会代表の切々たる、しかし、長い疲労感を滲ませた挨拶を皮切りに、古屋圭司・拉致議連会長(元拉致問題担当大臣、衆議院議員)(ポッティンジャー米大統領補佐官との接触、トランプ大統領の国連総会での“sweet girl(横田めぐみさん)“発言の引き出しに言及)、菅義偉・現拉致問題担当大臣(内閣官房長官、衆議院議員)、バンジョイ・パンチョイ氏(タイ人拉致被害者アノーチャー・パンチョイさんの甥)、海老原智治氏(北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマイ代表)(クーデター、民政移管、又クーデターを経た混乱のタイでは、下層階級に冷たいとの感想を披歴)等による主催者、来賓挨拶が続いた。

 

 次いで、山谷えり子・自民党拉致問題対策本部長(元拉致問題担当大臣、参議院議員)以下、公明党、立憲民主党、国民民主党各党の拉致問題対策委員長(副本部長、本部事務局次長)、鈴木宗男・日本維新の会参議院議員(安倍政権はよくやっている、六者協議の枠組みでロシアをもっと活用すべし、との持論を展開)による各党代表挨拶。引き続き、拉致議連事務局長(参議院議員)から、本セミナー参加国会議員の紹介がなされた。

 

 更に、北朝鮮による拉致の疑いが濃厚とされるデヴィッド・スネドン氏の兄、ジェイムズ・スネドン氏が挨拶をし、マイク・リー米国上院議員(共和党)、クリス・スチュアート同(同)によるビデオメッセージ、エイドリアン・スミス米国下院議員(共和党)による文書メッセージが披露され、最後に、島田洋一・救う会副会長(福井県立大学教授)により、以上の解説がなされた。

 

 最後に、パネルディスカッションとなり、前出の櫻井よしこ氏をコーディネーターとし、古森義久氏(ジャーナリスト、麗澤大学特別教授)、矢板明夫氏(産経新聞外信部次長)、西岡力氏(救う会会長、モラロジー研究所教授)をパネリストとして、約1時間半、熱のこもった議論が繰り広げられた。

 

2.パネルディスカッション概要 

 古森氏は、金正恩政権の命運と日本人拉致問題の解決はリンクしているとしつつ、他方、スネドン決議やオットー・ウォームビア青年虐待死に対する4億ドルの賠償判決等を通し、北朝鮮を人権弾圧の無法国家とする米国内での超党派の協調の動きを紹介。「非核化についての完全CVIDの米政府方針は不動であり、2019年6月のインド太平洋戦略も確固としている。ニュース・ソースであるツィッターやぶら下がり取材で粗雑・無知な印象を振り撒いているトランプ大統領だが、最悪の場合、軍事オプション(サイバー攻撃、電磁波攻撃を含む)を恥じず、躊躇わずに断行するだろう」云々。

 

 矢板氏は、2007年以降10年間の北京駐在経験を踏まえ、中国の北朝鮮特別待遇の数々を披歴し、両国関係を「ヤクザの父とヤクザの息子間、仲の悪い親子関係」に例え、中国の強力な北朝鮮バックアップ体制に強い危惧の念を表明した。

 

 西岡氏は、「拉致被害者救出の枠組みはできた!渦巻く北の謀略の下、見せ掛けの進展を求めて、日本側の姿勢を緩める愚を犯してはならない」との持論を展開した。

 

3.所感

 最後の締め括りに、被害者家族を代表して横田早紀江さんが登壇を求められた。早紀江さんは壇上に上がることなく、しかし、決然として前に進み出ると、あくまでも控え目に、「拉致被害者の全員即時一括帰国」という従来の皆が共有する願いを力無く訴えるばかりだった。

 

 思うに、1.記述の通り、首相・官房長官以下、全ての国政政治家が結集し、それは海外政治家にも及び、2.紹介の通り、当代一流の知性や勇気(人士)が叡知や勇気の限りを尽くして議論し、切なる要望や意見、アイディアを出し合うのに、拉致被害者救出問題、又、北朝鮮人権問題は、何年も、否、何十年も停滞を続けて一歩も動かない!・・残るのは絶望だけに見えるが、我々は決して絶望に閉ざされ、悲運に打ちひしがれている訳には行かない。

 

 「世の中を絶望させない!」という強い気持ちを抱いて、我々は新しい年2020年を迎える。

 

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