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救援活動勉強会の報告~最近の脱北者救出実態~

当基金は定期的に脱北者の救出実態の認識を統一するために会議を開き、意見交換を行っています。

そのさなかの10月01日現在、当基金に届いている2件の救援依頼に対する基本対策を話しあいました。祖母、母親が日本に暮らしている孫娘が中国に脱出し、救いを待っている件。

 また2017年に平壌から追放されて平安南道に配置された40代後半の男性とその母親です。これらの案件については追って詳細を報告しますが、同日行われた最近の北朝鮮の脱北者の現況についての報告内容をご紹介します。

 

最近の脱北者救出実態 ~ 脱北ルートを中心に ~

1.タイ経由ルート 

韓国に入国する脱北者の90%がタイ経由ルートを利用いている。タイに入った脱北者は、国際法上難民の地位を受けることができる。しかしタイから韓国に来る脱北者は、難民でなく韓国人と扱われて韓国に入ってくる。

タイの法律上、タイに密入国した者は48時間以内に裁判を受け、主に罰金刑を受けることになる。 初期には罰金として6,000パーツ(約200ドル)を科したが、2012年以後は2,000パーツに減った。もし罰金を納付できなければ、10日間の拘留処分を受ける。

すべての法的処理が終われば該当地域の移民局へ移送され、そこで手続きを踏んで終着地であるバンコク移民局収容所に移される。バンコク移民局収容所で簡単な身元調査と健康診断を受け、韓国大使館が発行する臨時旅行許可証を受け、通常2週間内に韓国に入国することになる。

 

 

2.ベトナム経由ルート

2017年7月から2019年9月(現在)まで、韓国に入国する脱北者の80%が利用するルートだ。中国広西省南寧を経由し、ベトナムとの国境都市である憑祥(ピンシャン)を経てベトナムに入るルートだ。ベトナムの国境都市ランソン地域は、中国商品の常設市場と保税市場そして密輸市場が複合的に繁盛しており、脱北者は中越国境を風呂敷包商売(担ぎ屋)や密輸品運び屋に偽装して越境して来る。

2004年7月、ベトナム滞留脱北者468人を韓国政府がチャーター機2機で韓国に入国させた事件で北朝鮮とベトナムの関係が深刻化し、その後、ベトナム当局が今まで認めてきた韓国行きを原則的に認めないでいる。そのため、ベトナムに入ってきた脱北者も最終的にはタイに行かなければならない。そのため、ベトナムからラオスを経由してタイのナコンパノム(Nakon Phanom)警察署に入る。

 

3.ラオス経由ルート

2005年から2014年4月まで、韓国に入国する脱北者の70%が利用したルートであった。 2014年3月、昆明駅でウイグル人10人がテロを起こして200余名の死傷者が発生した。そのため、昆明地域での検問検索が強化され、昆明を通過するのが難しかった。ラオスに行く脱北者は、中国雲南省昆明を経由してラオスとミャンマーの国境拠点都市であるタイ族自治州西双版納(シーサンパンナ)の州都である景洪(ジンホン)を経てラオスの国境都市であるルアンナムタ(Luang namta)に入る。ここから二つのルートに分かれる。一つは150km離れたタイの国境都市チャンコン(Chiang khong)に入るルート。一つは600km離れたラオスの首都ビエンチャン (VienTiane)にある韓国大使館へ行くルートである。

現在は、10%程度の脱北者が利用するルートである。2009年にはラオスの韓国大使館を経て韓国に入国した脱北者が800人余に達した。

ラオスの韓国大使館は、脱北者のラオス出国許可ビザ費用と航空券費用を自己負担原則として立替払いをしている。

 

4.ミャンマー経由ルート

ラオス経由ルートが現地事情により警戒が強化されると、ミャンマー経由ルートを利用する場合が時々発生する。

1990年末から2000年代初期には、韓国に入国する脱北者の10%程度が利用するルートだったが、2000年代中盤からは1%未満に減った。

特に2005年、韓国系アメリカ人ジェフリー朴牧師が脱北者6人を救出する過程で反政府少数民族軍に抑留され、メコン川上流の急流にまきこまれて失踪した事件以後、ミャンマー経由ルートの危険性が知られ、最近はほとんど使われない。

 

5.モンゴル経由ルート

1990年代の「苦難の行軍」時に、脱北者は少なくて10万人、多くて30万人に達した時期がある。この時、中国から韓国に行くために中国を抜け出す最も容易なルートがモンゴルルートであった。脱北者が多く滞留する東北3省からモンゴルは近く、国境地域が非常に広くて国境警備が粗末だった。しかし、モンゴルに到達してもモンゴル人居住地域に行くには砂漠を通過せねばならない。歩いて普通3日から7日程度必要であり、死亡者がしばしば出た。

また、モンゴル経由ルートが中国公安当局に発覚し、モンゴル国境へ行く道路と汽車の検問検索が強化されて公安に逮捕される脱北者が多くなり、2000年中盤からはモンゴルに行く脱北者は激減した。

最近の10年間にモンゴルを経て韓国に入ってきた脱北者は、モンゴルの首都ウルランバートルの缶詰工場で北朝鮮労働者として働いていた女性1人だけである。

 

6.中国直接ルート

2002年3月14日、北京駐在スペイン大使館に脱北者25人が進入した事件以後、2002年と2003年に在中各国大使館や領事館に進入して韓国に来た脱北者は2,000人余に達した。

その後、中国公安当局は在中各国大使館と領事館に鉄条網と垣根を設置し、周辺に私服警察まで配置して脱北者の進入を防いでいる。そのため脱北者が大使館や領事館に入るのは不可能になった。主に北京駐在UNHCRを経て韓国やアメリカへ行く脱北者が発生しているだけである。また、ブローカーに高い費用を払って韓国行き船舶の貨物室に乗ったり、偽造パスポートを使ったりして航空機を利用して韓国に入ってくる場合が時たまある。

 

7.ロシア経由ルート

北朝鮮から脱北する人々は主に中国へ行くのが一般的だ。ロシアに脱北した人は、20年以上活動して2人だけだった。

ロシアには伐木労務者や建築労働者として就職ビザを正式に受けて滞留する北朝鮮人が多い。その中で脱北者は、自分の事業場を離れて韓国や海外に行こうとする人々である。

中国に脱北者が入り込む前の1990年代初めから、ロシア伐木労務者が事業場を逃げ出して韓国大使館や領事館を経て韓国に入国したり、モスクワのUNHCRを通じてアメリカに行ったりした事例が多かった。2010年以後は、全てUNHCRを経て韓国かアメリカに行っている。

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