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【News111】関西学院千里国際高等部 北朝鮮の人権、難民に関する特別授業  北朝鮮の常識、日本の常識、難民はいない!?  加藤 博

 大阪府箕面市にある関西学院千里国際中等部・高等部から、北朝鮮の人権問題について話をしてもらいたいとの要請が3年前から繰り返しあった。しかし、どうしてもタイミングが合わず、今年2月に実現寸前までこぎつけたが、筆者がインフルエンザに感染し中止を余儀なくされ、4月19日にようやく訪問授業が実現した。

 

千里国際は、私立学校とインターナショナルスクールとが合同で運営している学校

 高校1年生およそ50名の「比較文化」の時間50分授業の枠で2回行われた。

この学校の特徴で、およそ900人の生徒のうち、およそ1/3は帰国生徒、1/3は外国籍生徒、1/3が日本国内出身の一般生徒、という構成になっているという。

 日本の公立高校とは違い、先生も外国人の先生と日本人の教員の割合もおよそ半々で、校舎内に日本語、英語が飛び交っている国際色豊かな雰囲気が溢れている。教頭もイギリスから来た人と日本国内の出身者と二人いると聞いてびっくり。驚くことばかりだった。

昼食をとるカフェテリアの責任者は元南アフリカ航空の厨房担当責任者でメニューも様々な国際的メニュー、日本食メニューがある。もちろん自分の家から弁当を持参するのもよい。宗教的信条に配慮し、ハラ-ルの食品も提供している。

食べる場所も校庭の芝生だったり、屋外テーブルだったり、自由そのもの。食べている傍で本を広げて勉強している生徒もいる。開いている部屋を見ると、そこで食べている子もいるし、別の隅では宿題なのか予習なのか、勉強している姿もちらほら見受ける。

先生と生徒の間も簡単なあいさつのやり取りから、なにやら相談までしている柔らかな雰囲気があって気分が和らぐ。

 

北朝鮮と日本の常識 レタスを洗えと言われたら

 「比較文化」という点からレクチャーの一部を紹介した。北朝鮮から脱北して、日本で定住する30歳台の女性が飲食店で食材の調理を任され「レタスを洗いなさい」と渡され、調理責任者が「何をしている」とおよそ30分後に注意されるまで洗い続けた例だ。北朝鮮流に考えれば、彼女は命じられたことを忠実にやり続けたのだから咎められることではない。彼女を監督する立場の責任者が咎める方がおかしい。しかし責任者の立場からすれば、30分も洗い続けたらレタスの葉はバラバラになり、細かくなって適切に使えない、どうして適当な時期にやめないのだという怒りに近いものがあったと考えられる。

 北朝鮮では指示されたとおりにしなければ、問題によっては処罰される。だから上からの指示は途中で勝手にやめたり、こうした方が良いと言って工夫をすることは厳禁なのだ。

日本では、自分で適切な時点で、十分に目的を達

したと判断することを求める。

つまり民族の文化、伝統的習慣によっては、同じ行為をしても全く違う結果がある。自分の所属する集団、社会、国同士の衝突を避ける知恵、価値観、文化の違いの認識が私たちには必要な例を紹介した。

 

難民はいない、不法入国、不法滞在者だけだ?

 1990年代後半から2000年代前半にかけて200万人の餓死者をだした。食糧を得る自由を求めて脱北者が中朝を分ける国境の川を越えた。2018年末まで脱北者で韓国に定住したのは3万5000人を超えた。日本にはおよそ200人が定住している。

自由を求めて、飢えから逃れるために国境の川を越えて中国にきても、中国政府は、彼らが「不法入国者」「不法滞在者」であるとの公式見解を変えない。脱北者は中国の警察に「不法入国者」あるいは「不法滞在者」とみなされ逮捕、拘束、強制送還される。強制送還されれば北朝鮮刑法によって厳罰に処せられる。場合によっては収容所に送られる。政治犯収容所には、一生出られない「統制化区域」もある。

生存するために食糧を求める自由(基本的な生存権)も認められないのが北朝鮮。脱北者が中国政府から強制送還されれば死刑を含む厳罰が待っていることを知っている。中国政府がそれを知らないわけがない。中国は国際難民法を認めて尊重すべき立場であるにもかかわらず、強制送還をやめようとしない。

国際難民条約では、社会的迫害を受けて厳罰を受ける恐れ、あるいは死刑に処せられる恐れがある場合はこれを送り返してはならない、としている。

北朝鮮難民救援基金は、中国政府から中国国内法に反して脱北者を助けることが真の人権を守る立場であるとの考えであることを、強調した。そのために犯罪者として囚われても人権擁護者の立場である。

放課後の課外活動の社会科研究部の部員達との討論でも、自分を犠牲にしても脱北者を助けるのはなぜなのですか、という質問があった。人権を守ると言うことは、時には自分の命をかけても守るほど重要で貴重なことだという印象を皆さんに与えたようである。

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