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【News110】脱北者理解のいとぐちにーーー「衝撃スクープハンター」を見て 山下知津子

 昨年末12月23日(日)正午からのフジテレビの番組「衝撃スクープハンター」に、3人の脱北女性が出演した。番組ではまず豆満江の光景や2002年に起きた瀋陽の日本総領事館での駆け込み事件が画面に流れ、現在脱北者が3万人を超えていることなども導入部として紹介された。

その後「金正恩体制から逃げてきた美女3人緊急来日」と銘打って、3人が日本の空港に到着したところから映像が流れ、次にスタジオ内に3人が登場。顔を隠すということもなく、椅子に腰をかけて司会者である加藤浩次氏とにこやかに向き合って会話は進んだ。加藤氏の背後には4人のゲストコメンテイターが並んでいた。

 登場した脱北女性は、北でさまざまな商売をしていた「元女密売人」という24歳のスヨンさん、極貧の家庭で生まれ育ったという同じく24歳のセインさん、そして母親が舞踊の振付師、父親が建設業に携わっていて非常に豊かな生活をし、モランボン楽団員を目指していた21歳のナラさんの3人。3人とも司会者やコメンテイターの質問に明るくはきはきと答えてゆく。

 

北でのそれぞれの生活格差と脱北の動機

 しかしながら、北でのそれぞれの生活には大きな格差があったようだ。どんなものを食べていたかを問われ、スヨンさんは「カエルの茹でたものを食べた」。セインさんは「とうもろこしの粉のお粥」。それに対しナラさんは「収入は常にドルで入ってきた。白米は食べ飽き、父が牛肉やあひるの肉を箱買いしていた」という。

 ナラさんはよく布団をかぶってはUSBで韓国ドラマを観ていたそうだが、15歳の時公開処刑を見せられたという。処刑された夫婦の罪状は韓国ドラマを違法コピーして売っていたということだが、このような話を聞いて、司会者やコメンテイターはさすがに仰天し、ぞっとして寒気がするというような反応を示していた。

 脱北の動機については、3人とも一様に「自由が欲しかった。北では何の希望も持てない」と語り、賄賂を使って命懸けで中朝国境の川を渡ったと振り返った。スヨンさんとセインさんの場合は、先に韓国入りした母親が送ってくれたお金を賄賂としたのだが、セインさんは「母が送ってくれたお金で親戚の者たちが覚醒剤を買ってしまったことに絶望的になった」という。

 

韓国での偏見や差別に苦しみと嘆き

 終盤は彼女たちの韓国での生活ぶりが現地での映像とともに紹介された。スヨンさんは現在大学を休学、ソウル市内でバリスタ*として働いていて将来自分の店を持ちたいと語ったが、苦難を経て辿り着いた韓国での偏見や差別に苦しみ、嘆いていた。他の脱北者も、韓国社会で北から来たと周囲に知られると非常に辛い思いをすることが多いと言う。そんな彼女たちの夢は南北が統一され、残してきた家族に再会すること。異口同音にそう語っていた。

 あまり長い時間の番組ではなかったが、全体として行き届いており、司会者やコメンテイターが素直に好奇心も示しつつ、3人の女性とフランクに対等に向き合い、彼女たちに生き生きと語らせていた。一般的な日本人にとっては初めて知る衝撃的な話も多かったであろうが、脱北者に対する理解のいとぐちとなる役割を果たしていたのではないかと思う。ただ、顔も出して語った彼女たちの北に残してきた家族の消息が心配ではある。

 

*バールのカウンターに立ち、客からの注文を受けてエスプレッソなどのコーヒーを淹れる職業、及びその職業についている人物

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2018/12/28

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