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【News108】タイ・ラオス国境調査報告<後編>

ラオスの首都ヴイエンチャンのメコン河沿いのナイトバザールの賑わい
ラオスの首都ヴイエンチャンのメコン河沿いのナイトバザールの賑わい

 

 2日目の訪問はラオスの首都ビエンチャンの日本大使館から始まった。

韓国大使館の南北首脳会談に関する対応について、脱北支援をするNGO団体との面談の申し入れには神経質で「拒絶された」と調査団の報告を披露した。これに関して日本大使館の担当官は「神経質になるのはもっともなこと」としつつ、北朝鮮大使館の動きを解説した。

 

中国人建設労働者2,000名が国境で働くラオスルートでの脱北者減少

1月4日付「ラオス新聞」によれば、ラオス政府に対して南朝鮮で行われるオリンピックに参加すると北側の立場を積極的に説明している。和解、融和の雰囲気が出ていることを積極的に説明し、国際的な制裁の動きに対する牽制を印象づけようとしているのだろう、と担当官は解説した。

ラオス政府は南北に対するバランス外交を基本としているので脱北者問題が表に出ることを嫌っている。

ラオスルートでの脱北者の減少については、中国からボーテン⇒ルアンナムタ⇒ルアンプラバーンへ中国雲南省昆明から南下する国際鉄道の建設工事で、中国人労働者2,000名が働いていることが大きく影響していると指摘した。

空路タイ・ラオス国境のウドムサイ県のメコン河沿いの町ホエサイに移動。ホエサイから対岸のタイ国チェンコーンにバスで移動。メコン河をまたぐ大陸橋は、中国の援助で中国の雲南省昆明からラオス領ルアンナムタ経由でホエサイを通過し、タイのチェンコーンからチェンマイ⇒バンコクとつなぐ大陸縦断国際道路の一部として設計されている。

中国、ラオス、タイの地域は、大きく変ぼうする様相を呈している。町はメコン河と並行して走っている道路沿いに外国人相手のゲストハウスが何軒も新築され、観光地化された一面もある。町はずれに船着き場があり、出入国管理事務所で手続きをしてラオスに渡れる。ここからラオスの古都ルアンプラバーン行の船もある。

 

チェンコーン警察訪問

日本に定住できた人は幸せ

チェンコーン警察の訪問では、警察大佐の署長が応対してくれた。ここの警察に収容された脱北者で、現在は日本に定住し、室内装飾の仕事が軌道に乗り、定着に成功している例を紹介した。「彼らが、ここでの人道的な対応に感謝している」と伝えた。

警察署長は、「日本に定住できた人は幸せだ。努力が報われる社会だという印象を受ける」と自身の日本を訪問した経験を語りながら、自分たちが関わった脱北者のその後についての情報を好意的に受け止めた。

 

警察署長の疑問

北朝鮮人がなぜ日本定住を選択する!?

警察署長は、「北朝鮮人がなぜ日本に定住することを選択するのか」という質問を調査団に対して発した。調査団は、日本が朝鮮半島を植民地として支配した過去の歴史、朝鮮戦争で日本に避難してきた「難民」の定住、そして1960年代に行われた「北朝鮮は地上の楽園」のキャンペーンで「北朝鮮に渡った9万3,000人の在日朝鮮人と子孫が日本に戻ってきている」と説明する。

チェンコーン警察に対し、「脱北者の収容に関し、必要とする物資があるか」と訊ねたところ、チェンコーン警察は「十分に足りている」との答えが返ってきた。

チェンコーン郡管区の状況は以下のようなものだ。

 

脱北者は若い女性が多い

最大1,000人、2017年およそ300人

2017年は脱北者で日本行を希望した人は1人もいなかった。2015年までは、年間およそ1,000人の北朝鮮人不法入国者を法に則り収容してきた。2016年に収容した人数はおよそ700人、2017年はおよそ300人。7年前の2000年のころは1,200人ほどの最大数を記録していた。

特徴的なことは若い女性が多く、中には子供や、赤児を連れてきた例もあったことです。全体の中に占める男性の割合は3割程度。男女に限らずほとんどが韓国行きを希望する。

2018年1月の収容者数は2人であった。今年の収容者数は100人に満たないのではないかと見通しを語る。減ってきた理由は、チェンコーン郡のあるチェンラーイ県が麻薬の取り締まりを厳しくしている影響があるのかもしれない。  

しかし北朝鮮人が麻薬に関わったという話は聞かない。事実上脱北者ルートの途中の検問が厳しいことも人数の減少に関係するのだろうと推測していた。

 

日本大使館での意見交換

タイ警察による脱北者の取り扱いと現況

北朝鮮国内状況の不安定化に伴う脱北者の増加の可能性については、予想されるものの予見するまでの根拠はない。また現状では、陸路による脱北難民の数は減少傾向にあること、人身売買による犠牲者の中国脱出が顕著であるが、「今後どのように変遷するかは予想できない」との見解を披露。

その理由の一つとして、国境のタイ、ラオス警察の協議のなかで、ラオス側にはタイへの入国の機会をうかがう北朝鮮人が約1,000人いるとのラオス警察の意見を紹介した。

 

海路の脱北が陸路の脱北を刺激する!?

タイ政府は人道的な立場

さらに2017年に北朝鮮の漂流船が日本に漂着している件数が104件と激増しているとの関係から、日本への脱出ルートを暗示したことになった。海路による生命の安全の危機はあるが、陸路もまた同様に危険があるわけで、いずれにしても脱北の固い決意を持った人たちの新たな選択肢になる可能性がある。それに刺激を受けて陸路による脱北が増加することも考えられ、予断を許さない状況である。それゆえ「タイルートを選択する人が増えたとしても十分に対応する態勢を準備しておくことは必要である」との見解を伝えた。

また「タイ政府が、北朝鮮、韓国両国と外交関係があることから両者のバランスを注意深くとっている印象だ」とも付け加えた。それでも、タイ政府が人道的な立場から韓国政府の脱北者救援には協力的である、との印象を受けている。

これまでタイルートでの脱北者ルートを円滑に維持するための韓国政府の努力を日本のNGOとしても認めており、この点については評価している。日本政府としてもこの点については「敬意を表してもよい」と思う。日本のNGOとしては、タイ警察が必要としている物品の援助を行い、タイ警察が受け入れるのであれば、「脱北者とタイ警察のコミュニケーションに役立つボランティア通訳を派遣し、両者の円滑な合法化の手続きを支援したい」との考えを表明した。(了)

 

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2018/12/28

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