【声明】北朝鮮漁船の日本漂着に対する日本政府の対応について

慎重の上にも慎重な対応が必要

 

11月に入って石川県珠洲市沖、青森県下北半島、新潟県佐渡市、秋田県能代市、由利本荘市、男鹿市

沖、と立て続けに北朝鮮からの木造船、鋼鈑船が漂着している。

 

北朝鮮の船の漂流、漂着は平成27年に45 件、平成28年には66件と増加の一途をたどっている。こ

れは金正恩労働党委員長の指示による「漁獲獲得戦闘」で食糧不足を補うためとされている。沿岸部はすでに中国側に漁業権を譲渡しているので、遠海に出て漁をしなければならない。老朽の木造船、燃料不足のために事故が起きると言われている。特に11月23日秋田県由利本荘市に漂着した北朝鮮漁船は8人の漁船員が乗っていたことで注目を浴びている。

 

報道によれば、県警と仙台入国管理局で漂着した経緯や帰国などの詳しい事情を聴いている、という。政府は関係省庁と協議し事件性がないとし、第三国を通じて北朝鮮に帰還させる方針だと言う。

しかしながら漁船員が乗っていた木造船は 25日係留していた現場から行方不明になっており、その所

在がつかめていない。これで事件性がないとは言い切れない新しい事情が発生したことになる。当局はこれまでの聞き取り調査を精査し、国民が納得できるような情報開示をする必要がある。遭難なのか、難民なのか、それとも別な動機による日本上陸なのかを確定するよう求めたい。

 

北朝鮮人は、どのような形であれ、留学、業務出張、出稼ぎ等で外国に行く場合、厳しい家族構成、

思想傾向、出身階層などの調査が行われ、合格した者にのみ許可される。今回の漁船の構成は 8 人であり、船長、漁労長、機関長という業務上の役割以外に労働党の責任者、国家保衛部の担当者が必ず一緒に配置される仕組みになっている。

 

北朝鮮に戻りたいという意思確認だけで問題がないのか再考する必要がある。彼らが北朝鮮に戻れば

厳しい取り調べがある。北朝鮮以外の国に許可なく上陸し(洋上出入境違反)、そこで日本の警察と出入国管理局係官の聞き取り調査内容、寝食の待遇を受けた内容の全てを、8 人が 1 人ずつ隔離された部屋で 2 週間にわたって調査を受けることになる。さらに職場復帰したとしても国家保衛部から最低でも 1年から 2 年の監視対象となることが分かっている。

 

そして日本で見、聞き、知ったことや経験は、家族にも、誰にも口外してはならない、という誓約書

に署名させられる。もし日本で食べた弁当について話しただけだとしても、それは重大な罪となる。国家反逆罪にもなりかねない。そうなれば強制収容所(管理所)行もありうる。

 

8人全員が、「北朝鮮に戻りたい」と言われているが、全員が同日同時刻で個別に受けた調査でない限り「申し合わせ」によって同じ回答になる場合もある。それを国家保衛部員が主導したのであれば、8

人の意思は北朝鮮国家の意思によって主導された結果となる。処罰されるのが自明であるならば、日本政府の決定は難民条約に抵触する。調査と判断は、慎重の上にも慎重でなければならない。

 

こうした北朝鮮の事情、背景を無視して、単純に全員が北朝鮮に帰国する意思があったと判断すれば

結果的に人権を毀損することになり、人道上も問題となる。

 

日本政府の手続きに何の問題がなかったとしても、北朝鮮に戻れば、その手続きの結果当人たちが不

利益を受ける可能性が容易に想像できる。独裁国家による「人権蹂躙」は許さない日本政府の立場を北朝鮮政府に明確に伝えなくてはならない。

 

北朝鮮難民救援基金 理事長 加藤博

元脱北者・「モドゥモイジャ」代表 川崎栄子

特定失踪者問題調査会 代表 荒木和博

会見資料20171128.pdf
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川崎栄子氏原稿20171128.pdf
PDFファイル 240.8 KB
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2018/12/28

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