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「太陽の下で」―真実の北朝鮮― 鑑賞記

田平 啓剛

 

  2017 年 1 月 21 日(土)からの一般公開に先 立ち、昨年 11 月 16 日(水)、東京・京橋テアト ル試写室にて、上記 ドキュメンタリー 映画の試写会が行 われた。主にマスコ ミ関係者が対象の 招待客であったが、 当基金・加藤理事長 と共に、小生も本招 待に与り、“私達が 見ていた北朝鮮、それは「演出」された 姿だったー”ことを、 改めて再認識させられることとなった。

 

パンフレットの紹介文

  北朝鮮において、“庶民の日常生活”とは?・・・ モスクワ・ドキュメンタリー映画祭の会長も務める ヴィタリー・マンスキー監督は、誰もが知りたい疑 問を、誰もが見えるかたちで描きたいと考えていた。 北朝鮮政府から撮影許可を得るまで2年間、平壌の 一般家庭の密着撮影に1年間。その間、台本は当局 によって逐一修正され、撮影したフィルムはすぐさ ま検閲を受けることを強いられたが、検閲を受ける 前にフィルムを外部に持ち出すという危険を冒し て本作を完成させた。映像にはドキュメンタリーで ありながら出演者たちにセリフや笑い声をあげる タイミングなどを細かく指示を出す“ヤラセ”や“ビ ハインド・ザ・シーン”が数多く盛り込まれている。

 

本件映画の内容(同上パンフレットに拠る)

  ジンミ、本当に幸せなの?・・・8歳のジンミは模 範労働者の両親とともに平壌で暮らしている。ジン ミは金日成の生誕記念「太陽節」で披露する舞踊の 練習に余念がない。エリートの娘を持った両親は仕 事仲間から祝福を浴び、まさに“理想の家族”の姿 がそこにはあった。ところがドキュメンタリーの撮 影とは名ばかりで、“北朝鮮側の監督”の OK が出 るまで一家は繰り返し演技させられ、高級な住まい も、親の職業も、クラスメイトとの会話も、すべて 北朝鮮が理想の家族のイメージを作り上げるため に仕組んだシナリオだった。疑問を感じたスタッフ は、撮影の目的を“真実を隠す”ことに切りかえそ の日から、録画スイッチを入れたままの撮影カメラ を放置し、隠し撮りを敢行するが・・・。

 

本件映画の反響(同上パンフレットに拠る)

  政府の強力な圧力と非難を押しのけ世界各国で 高く評価された話題作が、ついに日本上陸・・・自 分たちの恥部があらわにされた北朝鮮は、すぐさま ロシアに上映禁止を要求した。これを受けてロシア 政府は、ヴィタリー・マンスキー監督への非難声明 と上映禁止を発表。にもかかわらず、韓国、アメリ カ、ドイツ、イタリア、カナダをはじめ20都市以 上で上映や公開がなされ、「第40回香港国際映画 祭 審査員賞受賞」、「サンフランシスコ国際映画 祭 最優秀ドキュメンタリー賞 ノミネート」など数 多くの快挙を成し遂げた。

 

相も変らぬ欺瞞と暴力に満ち満ちた北朝鮮

  この映画を観終わった直後の小生の素朴な感想 は、「北朝鮮は相も変わらず、欺瞞と暴力に満ち満 ちた国家であり、社会であるのだなァ!少しも変わ っていない」というものである。「北」の21世紀 の現代とは信じられない人権蹂躙と非道の数々は、 つとに姜哲煥著「平壌の水槽―北朝鮮 地獄の強制 収容所」(2003 年8月第1刷発行)に詳しい。今 や古典のひとつとも称すべきそこでも、在日の親族 が帰国者の家庭訪問をする際、様々な虚飾が講じら れたことが綴られている。・・・人目につきそうな地 域は徹底した清掃が義務付けられ、納戸付きの大き めな立派な家への移動が強いられた。収容所に関し てはもちろん、政府に対する批判めいたことは一切 口外しないことを命じられる事前レク、また親戚に は保衛部から案内人が随行し、会話等々の24時間 監視体制。・・・

  この間だけでも少なくとも 13 年。実際には金日 成執権後、即ち、朝鮮民主主義人民共和国成立後、 70 年近くも、同じ欺瞞と暴力が社会に溢れている。 更に、「北」の要求に唯々諾々として応じるプーチ ン・ロシア政府。国際法を無視し、独自の主張で軍 事力増強に拍車をかける習近平・中国。億万長者の 金力と名声に任せ、何を仕出かすか分からない不気 味なトランプ米次期政権。・・・世界は絶望に閉ざさ れているように見えるが、果たしてこの窮境トンネ ルの出口、突破口は有り得るのか?

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